離婚調停で離婚やその条件について合意に至らない場合、離婚裁判にまで発展することがあります。
本稿では、離婚裁判の流れや期間、費用などについて解説しています。
離婚訴訟の流れ
- ①呼出状・訴状の送達
- 離婚訴訟が提起されると、裁判所は原告(訴えられる側)の都合を確認した上で、初回期日を決定します。
期日が決まると、裁判所は、原告には期日の呼出状を、被告(訴えられる側)には期日の呼出状と訴状を送達します。 - ②答弁書の提出
- 呼出状と訴状を受け取った被告は、最初の期日の1週間前までに裁判所と原告に答弁書を提出しなければなりません。
被告はこれを原告に直接送付する代わりに、裁判所に送達させることが可能です。
答弁書は期日当日に提出することもできますが、答弁書を提出せず、最初の期日を過ぎてしまうと、原告の主張が全面的に認められてしまいますので、注意が必要です。
事実確認が間に合わない場合は、少なくともその主張に同意できない旨を記載した答弁書を提出することになり、詳細な主張は後日準備書面として提出することが可能です。 - ③第1回期日
- 第1回期日は、通常、訴訟提起後1~2ヶ月程度で設定されます。
第1回期日には、呼出状に記載された法廷に出頭します。
第1回期日では、原告による訴状の陳述、被告による答弁書の陳述、次回期日の告知(通常約1ヶ月間隔)、次回期日までに準備すべきもの(反論、証拠提出等)の確認が行われます。
被告が答弁書を提出せず、第1回期日に欠席した場合は、原告の主張が認められることになります。
第1回期日では、書証(書類による証拠)調べや争点整理が行われることがあります。
多くの場合、第1回審尋は数分から10分以内で終わります。 - ④準備手続き
- 第2回期日以降は、第1回期日と同様に法廷での口頭弁論ではなく、準備手続室で準備手続が行われることが多いですが、その時間は短いです。
弁護士が訴訟代理人となっている場合、弁護士が準備書面を提出し、相手方の主張に対する反論や自身の主張を補足します。 - ⑤和解期日
- 弁論準備期日における協議の結果、和解が成立しそうな場合には、和解期日が開かれます。
和解期日では、当事者双方が合意内容を確認し、和解が成立します。
和解が成立した場合、裁判所は和解調書を作成します。
和解調書は郵送してもらうこともできますが、離婚届を提出するためにすぐに和解調書が必要な場合は、裁判所に取りに行く必要があります。 - ⑥証拠調べ
- 和解の見通しが立たない場合、証拠調べに移行します。
離婚事件では、本人尋問が行われることが多いです。 - ⑦判決言渡し
- 証拠調べが終わると、再度和解の可能性を探ります。
それでも和解の見込みがない場合には、判決が言い渡されます。
判決言渡しの日に出頭する必要はありません。
判決の正本は、判決言渡し後2週間以内に送達されます。
判決正本送達後2週間以内に控訴がなければ、判決は確定します。 - ⑧判決に不服がある場合(控訴)
- 判決に不服がある場合、判決が確定する前に控訴することができます。
控訴人が判決を言い渡した家庭裁判所に控訴状を提出すると、上級裁判所で再審理が行われます。
離婚訴訟の期間
離婚訴訟の第一審の平均審理期間は14.1ヶ月であり、このうち、当事者双方が出席して判決に至るケースに限り、平均審理期間は19.1ヶ月にもなることから、かなりの長期戦になることが分かります。
請求棄却・認容、訴えの取下げ、判決言い渡し前の和解、欠席裁判の直後に結審した場合は、その時点で裁判が終わっているため、裁判期間は短くなります。
また、敗訴した側が控訴すれば、さらに長期化することになります。
離婚訴訟にかかる費用
離婚訴訟の申立費用がかかるほか、代理人を弁護士に依頼した場合、弁護士費用は80万円から100万円程度かかります。
弁護士費用は、大きく分けて、着手金と離婚そのものに対する慰謝料、財産分与や慰謝料、養育費、婚姻費用などから得られる経済的利益に対する成功報酬があります。
離婚の着手金はそれぞれ約30万円になります。
経済的利益に対する成功報酬は、得られた利益の10~20%程度です(養育費や婚姻費用は一定期間に限定されることが多いです)。
また、親権が争われた場合は、これに成功報酬が加算されたり、期日ごとに日当が必要になる場合もあります。
離婚に関することは加島法律事務所におまかせください
加島法律事務所は、離婚に関するご相談を承っております。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。