遺留分の計算方法、遺留分侵害額請求権の行使とは?

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遺留分の計算方法、遺留分侵害額請求権の行使とは?

■遺留分とは
遺留分とは,兄弟姉妹以外の相続人について,その生活保障を図るなどの観点から,最低限の取り分を確保する制度です。
改正民法1042条以下に規定があります。
遺留分に関する規定は、相続法改正によって大きく変更されたため、確認しておきましょう。

■遺留分の計算方法
遺留分は、以下の計算式で計算します。

遺留分=遺留分を算定するための財産の価額×法定割合×遺留分権利者の法定相続分

◇遺留分を算定するための財産の価額
「遺留分を算定するための財産の価額」は、以下の計算式で計算します(改正民法1043条、1044条)。
遺留分を算定するための財産の価額
=相続開始時の相続財産
 +第三者に相続開始前(原則)1年間に贈与した財産の価額
 +相続人に相続開始前(原則)10年間に婚姻もしくは養子縁組のためまたは生計の資本として贈与した財産の価額
 -相続債務

◇法定割合
直系尊属(父母、祖父母など)のみが相続人である場合の法定割合は3分の1(民法1042条1項1号)、その他の場合には2分の1と定められています(民法1042条1項2号)。
つまり、
①相続人が、配偶者と子
②相続人が、配偶者と直系尊属
③相続人が、配偶者のみ
④相続人が、子のみ
の場合には、2分の1が法定割合になります。

◇遺留分権利者の法定相続分
各相続人が、被相続人の遺産全体のうち、相続する割合のことを、相続分といいます。
この相続分は遺言で指定することができます。
遺言による指定が無い場合には、法律によって定められた相続分にしたがうことになります。
この相続分を法定相続分といいます。
法定相続分は、相続人が、被相続人(亡くなった方)とどのような関係かによって異なります(民法900条)。

まとめると、以下のようになります。
・配偶者:子(の総額)=2分の1:2分の1(民法900条1号)
・配偶者:直系尊属(の総額)=3分の2:3分の1(民法900条2号)
・配偶者:兄弟姉妹(の総額)=4分の3:4分の1(民法900条3号)

同じ地位の相続人が複数人いる場合には、その相続人の人数で相続分を均等割にすることになります(民法1042条2項、民法900条4号)。
例えば、配偶者と子供3人が相続人になる場合には、子供1人の法定相続分は、2分の1を3人で割って、6分の1になります。
なお、相続人が1人しかいない場合、法定相続分は1(100%)になります。

■遺留分減殺請求権とは
被相続人(亡くなった方)が遺言や遺贈などで、この遺留分を侵害する形で相続させた場合、遺留分を侵害された相続人は,被相続人から多額の遺贈又は贈与を受けた者に対して,遺留分侵害額に相当する金銭を請求することができるようになります。この請求権のことを遺留分減殺請求権といいます。

■遺留分減殺請求権の行使額
遺留分減殺請求権は、遺留分侵害額の範囲で、侵害した者に対して金銭の支払いを請求することができます(1046条1項)。
遺留分侵害額は、以下の計算式で計算します(1046条2項)。
遺留分侵害額
=遺留分
 -遺留分権利者の特別受益の額
 -遺留分権利者が相続によって得た積極財産の額
 +遺留分権利者が相続によって負担する債務の額

■遺留分の放棄
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けた時に限り、その効力を生じます(民法1049条1項)。
共同相続人の一人がした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません(民法1049条2項)。

■遺留分減殺請求権の期間制限
遺留分減殺請求権は、行使できる期間に制限があります。
①遺留分権利者が相続の開始および減殺請求すべき贈与又は遺贈が有ったことを知ったときから1年間行使しない時
②相続開始から10年経過した時
以上の場合、遺留分減殺請求権を行使できなくなるため、注意が必要です。

加島法律事務所は、相続法改正にも対応し、様々な相続問題についてご相談を承っています。
お困りの際は、お気軽にご相談下さい。

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