■配偶者居住権とは
配偶者居住権権とは、相続法改正によって新しく定められた権利の1つです。
被相続人(亡くなった方)の配偶者が、被相続人が所有していた建物に居住していた場合、その居住していた建物全部について無償で住み続けることができる権利のことをいいます。
■配偶者居住権の種類
配偶者居住権には、①配偶者短期居住権(改正民法1037条1項)と、②配偶者居住権(改正民法1028条1項)の2つがあります。
Ⅰ配偶者短期居住権
配偶者短期居住権とは、相続関係者の意思とは関係なく、成立する居住権のことです。
被相続人が亡くなったときに、被相続人の建物に無償で居住していた配偶者を保護するため、法定の短期居住権を認めています。
・配偶者短期居住権を得るための条件
配偶者短期居住権は、
①配偶者が、
②被相続人の財産に属した建物に、
③相続開始時に無償で居住していた場合に、
④当該居住建物の所有権を相続又は遺贈等により取得した者に対して有する、当該居住建物(その一部のみを無償で使用していた場合はその部分に限る)
に無償で一定の期間居住することができます(改正民法1037条1項1号)。
・配偶者短期居住権の期間
配偶者短期居住権の対象となる財産が共同相続人間で遺産分割の対象となっている場合、
①遺産分割が完了して所有権の帰属が確定した日、
②相続開始の時(被相続人が亡くなった時・民法882条)から6ヶ月を経過する日(改正民法1037条1項1号)
のいずれか遅い日まで、無償で居住することができます。
遺産分割の対象となっていない場合には、
建物取得者が、配偶者短期居住権の終了を申し入れた日から6ヶ月を経過した日まで、無償で居住することができます。
Ⅱ配偶者居住権
配偶者居住権とは、遺産分割を行う場合における新たな選択肢の1つです。
遺産分割を行う場合、不動産の価値は一般に高いため、家を相続すると、他の相続財産を十分に引き継ぐことができない可能性があります。
そこで、相続法改正によって、配偶者居住権という、原則として配偶者が死亡するまでにの間、無償で当該不動産に居住することができる権利を新設しました。
配偶者居住権を相続した場合の評価額は、家の所有権を相続する場合よりも評価額が低額となります。
遺産分割を行う場合に配偶者居住権を選択することで、評価額を下げることができる結果、その分、現金や車、銀行口座などの預貯金債権など、。他の相続財産を相続できる枠が増えることになります。
加島法律事務所は、相続法改正にも対応し、様々な相続問題についてご相談を承っています。
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配偶者の居住権とは
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